ストレッチと筋肉の関係~整体師が教えるストレッチの真実 其ノ弐~
こんにちは。名古屋で整体を行っている、赤月堂店主の深川です。
「私は基本的にストレッチをおすすめしません」
そうお伝えした「ストレッチの真実 その1」の続きです。
ちなみに、前回の記事を簡単にまとめると、
「ストレッチはテキトーにガムシャラにやってもほとんど意味ないよ。場合によっては毒になるかも」
という内容でした。
そうですね。伝わりきらないですね。
ストレッチも神経質にやり過ぎれば、スポーツ動作によって体を壊すときと同じ現象が起きる可能性があるということ。
投げる動作を繰り返して野球肩が起きるんだから、そりゃストレッチでも極端にやれば同じことが起きることもありますよね。
って屁理屈的な感じの内容でした。俗に言うオーバーストレッチです。
ゆえに私は特に最初のうちはストレッチを指導しないワケなのです。
それに骨への影響も書き記しましたね。
ゴルフや野球の体への影響についても書きました。ゴルフや野球好きの方は読んでみるといいかもしれないです。
気になる方は前回の「整体師が教えるストレッチの真実 其ノ壱」をお読みください。
前回に続き、「ストレッチと筋肉の関係」や、「逆効果にならないストレッチの方法」について、書いていきます。
目録
ストレッチで筋肉が硬くなってしまうのはなぜか?
あなたは「ストレッチ」と聞くと、こんなイメージを持っているのではないでしょうか。
- 健康法
- ケガの予防
- 痛みや不調の改善
- 可動域を増やす
- 筋肉を柔らかくする
世間一般的に、ストレッチはこんなイメージだと思います。
しかし、このイメージは本当なのでしょうか?
今まで様々なお客さんの身体を触ってきました。
中には「ストレッチをやったのに筋肉が硬い」というお客さんもいました。
- ストレッチをして可動域が広くなった人
- 前屈で地面に手を余裕でつく人
このようにストレッチをしていた人でも、筋肉が硬い性質になっていた人はたくさんいました。
その中でも、普段「運動しないからストレッチをしている」という人は、可動域があろうが硬い人が多かったです。
逆に、筋肉が柔らかい人は普段から運動しているなど、筋肉を伸張と収縮させる動きをする人が多くいました。
ここで、じゃあ「運動すればいいんだ!」と思ってはいけません。
- 筋トレなど筋肉に酷使かけ続ける人(本当の意味で休ませない)
- 仕事柄、筋肉にジーッと力入れっぱなしの人(立ち仕事、座り仕事)
こんな人にも、筋肉が硬い人はたくさんいます。
日常と仕事の中において、普段の筋肉への負担のかけ方の違いで、筋肉が硬い人が生まれます。
(硬い性質の筋肉になりやすい原因もいろいろありますが・・・)
女性的な質の柔らかい筋肉の人たちの共通点は、普段から筋肉を伸縮させる動きをしていたことです。
いい意味での柔らかい性質のある人は、やはり伸縮させることが多い人でした。
重要なのが、筋肉の伸張と収縮です。
そこに筋トレのような負荷をかける必要はありません。
伸ばしっぱなし、縮みっぱなしも違います。
ここの話をまとめると、
「運動をあまりせずにストレッチだけをしている人は、なぜか可動域はあるが、硬い性質の筋肉になっている」ということです。
では、ストレッチは何をしてるんでしょうか?
やっても意味がないものなのでしょうか?
そんなことはありませんよ。
ストレッチだけでもやり方によっては柔らかくできます。
できれば「筋肉の伸縮作用」も組み合わせるといいですが・・・。
とりあえずどんなストレッチが筋肉を硬くしてしまうのか?話していきましょう。
伸縮こそが筋肉を柔らかくするという証明!
運動はしないでストレッチだけをしてる人がなぜ硬いか?
明確な解答は正直難しいところがあります。
強いて言うなら、
「筋肉が動かないと血流のポンプ運動が弱くなる」
「伸縮作用をしないことでなめらかさがなくなる」
と言うことくらいです。
例えば、あなたは以下のことを経験したことがありますか?
あるいは、周りにこのような経験がある人がいることを認知していますか?
- 朝起きた時だけの腰痛
- 寝起きの筋肉の突っ張りで身体が曲げにくくなる
- デスクワークや立ち仕事での腰痛、肩こり
これらには全て共通点があります。
動かない、つまり筋肉を伸縮しないということです。
わかりやすく説明すると、朝寝てる時や昼寝してる時、突然の電話にびっくりして起きたことありませんか?
そして、電話に出ると声が出にくくありませんか?
そのとき、電話の相手に『あれ?もしかして寝てた?』とか言われたことないですか?
この原因は、寝ていて筋肉を使ってないから喉の筋肉が硬くなってしまったということにあります。
それも『深部筋』、今で言う『インナーマッスル』よりさらに奥にある声を出すための筋肉までもが硬くなってしまってるわけです。(寝起きにある腰痛と同じ現象)
そして、それは話していくたび声は元どおりになっていきませんか?
それは筋肉が緩んでいった証です。
(寝起きにある腰痛が家事などしてるうちに軽く、あるいは消えるのと同じ現象)
あの「声が出にくい現象」こそが、朝の腰痛やデスクワークの肩こりと同じ原因のものだったんです。
そして「デスクワークも」と言うことは、力を抜いていようが、力を入れていようが動かさないと筋肉は硬くなると言うことです。
デスクワークや立ち仕事は、筋肉を使ってるのに硬くなるの?
おや?「デスクワークや立ち仕事は体使ってるじゃないか!」ですと?
本当にそうですか?
皆さん映画を見てるとき、肩が怒り肩のように上がってきませんか?
しかも、そのままの状態を保持して、ほぼ動かさないですよね?
デスクワークも立ち仕事も、それをしてるから起きるのです。
ではまず、デスクワークの人たちについて、人体の中でも重い頭が画面や資料を覗くために(猫背のように)前側に出てればどうなりますか?
常にその重みを支えるために、無意識に首と背中、腰の筋肉が持続的に使われていますよね。
また、映画を見るときのような怒り肩みたいになった状態をキープして腕や手を使ってませんか?
次に立ち仕事の人たちについて、映画見る時やデスクワークする時と同じようなことしてませんか?
また、警備員さんや販売員の方なら常に綺麗な姿勢を保持するために、意識して姿勢筋を使い続けていませんか?
(ちなみに力仕事の人は動きまくるんで筋肉が柔らかい人が多いです。ただ、「柔らかい中に弾性のある硬さ」と「骨のズレ」が存在してるので体を壊します)
この通り、筋肉の伸縮をさせないで、極力その形でいるから硬くなるのです。
特徴としては、見事に固めてほぼ動かさなかったところに症状が出てます。
それを引きずることで、人によって、ゆくゆくは手足の痺れや頭痛になるのです。
これらを踏まえ、私は「ストレッチより伸縮作用こそが筋肉を柔らかくする鍵」と結論を出しました。
この結論から考えるに、柔らかくすることが目的ならば、ウェイトなどはいらないということです。
なので、「伸縮を筋トレのようにやる必要はない」と言ってるわけです。
可動域を増やすならストレッチを。
柔軟に対応する柔らかい筋肉を養うなら伸縮作用を。
理想的なストレッチの効果を学びましょう〜養われるべきは柔軟な対応力〜
伸縮こそ筋肉を柔らかくする方法と説明しましたが、もう少し踏み込んでいきたいと思います。
ストレッチはケガの予防や健康にいいか?
いいとは思います。
前に述べたようにやり方が問題で、単純に可動域が広がればいいのか?という話です。
例えば、以下のゴムがあるとき、あなたが利用したいのは、どのゴムでしょうか?
- 伸び縮みするゴム
- 伸びきったゴム
- 凍りついたゴム
もちろん伸縮する柔軟なゴムですよね。
伸びきったゴムは、伸びきったところまでは簡単に伸ばせます。
しかし、それ以上伸ばせば切れてしまいます。
凍りついたゴムはそもそも伸び縮みできないので、無理やり伸ばせば切れるしかありません。
伸び縮みしやすいゴムは衝撃を吸収し、柔軟に対応してくれます。
もちろんゴムは限界を越えれば切れますが。
それでも柔軟性があるため、耐久力は圧倒的に強いですね。
これは筋肉も同じことです。
可動域が広くても捻挫をする人はたくさんいます。
正直、可動域が増えたから骨がズレにくくなるなんてことはないです。
捻挫の場合、関節の可動域を超えて起こります。そこに可動域は関係ありません。
行くとこまで行っちゃえば距離が違うだけで同じということです。
なら、柔軟性を養った方が衝撃や可動域限界に対して、その柔軟性で衝撃吸収ジェルや軟質と硬質の鉄を混ぜた日本刀のように柔軟に壊れにくく対応してくれることでしょう。
日本刀の表現はわかりにくかったでしょうか・・・。
ただ硬いだけの物は壊れやすいということです。
ダイヤモンドが引っかき傷には強く、落下ダメージには弱いのと同じです。
物質の耐久力には硬さだけでなく、やはり弾性、柔軟性といった柔らかさも必要なワケです。
ざっくりまとめると、「可動域の広さ」と「柔らかい性質の筋肉」は意味が違ってくるということです。
両方の性質を得るためには伸縮運動とストレッチのバランスが重要です。
口で言うのは簡単ですが、聞く側にとっては難しいところですよね。
完璧な商品を作れないのと同じで、健康法にも必ずメリットだけでなく、デメリットが出てくる場合があります。
これをヒントに試して学んで感覚でやっていってみてください。
その過程でいろいろな気付きが得られると思いますよ。
・・・独り言ですが、その観点から行くと「自分でできる操体法のメリット」と「ストレッチのメリット」を組み合わせると、ストレッチしかしないという人にも『可動域拡大』と『柔らかい性質』両方を得られるんじゃないかと思います。注意点はありますが。
読んでいる方にとって参考になる知識かは不明ですが、この知識を何かに応用して活かせたら幸いです。
正しいストレッチを理解して、逆効果を防ぎましょう
さて、ここまでを踏まえて、逆効果にならないストレッチを考えてみましょう。
みなさんはストレッチをする時どうしていますか?
行けるとこまで行って「グッグッ」と、さらに奥に行くようなやり方をする人が多いのではないでしょうか?
この可動域いっぱいまでひねって、さらに奥に「グッ!」とひねる行為は、実は可動域が増えても筋肉が硬質になっていくだけなんです。
お客さんの中に、可動域があっても筋肉が硬い人がたくさんいるのがいい例です。
あなたも思い当たる節がありませんか。
指でも脚でもどこでもいいです。試しに今、筋を伸ばしてみてください。
筋が張って硬くなるのわかりますよね?
これ自体が悪いワケじゃないですが、それを押し広げ続けることで筋肉が反射的に硬くなります。
微妙な感覚で分かりづらいですが、実際伸ばした後に筋肉を触ると伸ばした側は若干硬くなり、逆の縮んだ側(撓めた側)が柔らかくなってます。
この無理やり押し広げながら伸ばすストレッチのやり方を極端に続ければ続けるほど、デスクワークや立ち仕事でじっとしてる人や絶え間ない酷使で張ってる人と同じような質の硬さになります。
(ちなみにこれらの方の共通点は、常に筋肉の中や挟まれてる血管が圧迫され、血流が悪い状態が続いてるということ。デスクワークなどはつい無意識に姿勢が崩れたり、肩が上がってくるので無意識に常にという感じです。)
可動域が拡がればなんでもいいという人にはどうでもいい情報かもしれませんが、ケガの予防や健康を考える人にとっては重要な話だと思います。
よくストレッチで優しくゆっくりやれという人がいますが、まさにその通りです。
つい「実感と即効性」を求めるがあまりに「ほどよい伸び感」を超えて「筋が張る」まで伸ばし、可動域を増やして満足感を得るまでやってしまう。
いいことですが、「時と場合を選べ」という言葉があるわけで、実際はその手前がいいのです。
ストレッチなら張りを感じる手前くらい、あるいは少し張りを感じる程度に伸ばす方がいいです。
やったという実感がほしくて、「焦って目に見える効果を求める」「満足感を得るまで何度もやる」のはおススメしません。
技術の習得やダイエットと同じで長期間かけるような地道な気持ちが必要です。
時間をかけて積み重ねて壊したものは、時間をかけて積み重ねて治すという気持ち。
そうすると張らずに柔らかい性質のまま可動域が増えていきます。
何事も極端なことは控えるべきということですね。
まとめ
ストレッチの仕方、柔らかい筋肉の作り方に関してざっくりでも理解できたでしょうか。
ここまで、以下のことをお伝えしてきました。
- ストレッチより伸縮作用こそが筋肉を柔らかくする鍵
- 「可動域の広さ」と「柔らかい性質の筋肉」は意味が異なる
- ストレッチと伸縮運動のバランスが大切
無理やり押し広げながら伸ばすストレッチのやり方を極端に続ければ続けるほど、結果的に硬い筋肉になってしまいます。
かといって、ストレッチに意味がないわけではありません。
可動域を広げるのに、ストレッチは役に立ちます。
「広い可動域はストレッチが大切だけど、柔らかい性質の筋肉は伸縮運動が大切」ということです。
次回の「ストレッチの真実 その3」では、「ストレッチのタイミング」について、お話します。